私たちの日常生活のあらゆるコストには、エネルギー発生にかかる費用が含まれています。水道光熱費はもちろん、食料や日用品、ウェブサイト運営のためのサーバー代まで、すべてにエネルギーコストが影響しています。だからこそ、より効率的で安全なエネルギー開発は私たちの生活を大きく変える可能性を秘めているのです。今回は、そんな未来のエネルギー源として期待される「核融合発電」について見ていきましょう。
核融合とは、原子核同士が融合して別の原子核に変わる反応です。本来は「原子核融合」と呼ぶべきところを縮めて核融合と呼んでいます。太陽や星は核融合によってエネルギーを生み出していますが、地球上でもこの反応を利用して発電することを目指しています。
1gの水素を核融合させて発生するエネルギーは、石油8トンを燃焼させたときに発生するエネルギーに相当します。この数字だけでも、核融合がいかに効率的なエネルギー源になり得るかがわかりますね。
核融合発電の魅力はいくつもあります:
核融合反応からエネルギーを抽出するには、「三重積」と呼ばれる3つの必須条件があります:
核融合発電の仕組みは、重水素と三重水素が核融合反応を起こすと、高速の中性子とヘリウム原子核が発生します。それぞれが持つエネルギーの割合は80%と20%です。ヘリウムはプラズマ中にとどまりプラズマを加熱しますが、中性子は磁場の影響を受けないためプラズマから飛び出し、プラズマを完全に覆う「ブランケット」と呼ばれる壁にぶつかります。
これにより、中性子は減速し、その運動エネルギーが熱エネルギーに変換され、ブランケットの温度を上げます。ブランケットには冷却材が流れ、外部の熱交換器へ熱エネルギーが輸送されます。その後、熱交換器を介して蒸気タービンを使う発電部については、火力発電や原子力発電などと仕組みは同じです。